平成28年度卒業研究紹介「中学数学の空間図形教育支援ウェブアプリケーションの作成」

発表者:田中 創介(情報科学科)/指導教員:仲 隆 教授

 私は、中学校の数学教師を目指しており、教職課程を受講している。そこで、卒業研究では、中学数学の教育に関するものを選ぶことにした。また、昨年6月に教育実習に行き、教育現場の実態把握、数学に関するアンケート実施とその集計を行った。アンケート結果として、「数学が得意である」「空間図形の単元を理解できている」と回答した生徒が非常に少なかった。生徒が使用して楽しいと感じ、さらに、内容を理解することができるようなものを作成する必要があることが分かった。そこで、本研究では、中学数学の空間図形の教育を支援するウェブアプリケーションを開発することにした。

 作成するウェブアプリケーションは、生徒の数学への興味・関心の向上、生徒の空間図形に対する内容の理解を支援することを目的とする。「空間図形」の単元は、中学校1年で主に学習する。回転体や展開図など空間図形を様々な視点で捉えたり、表面積・体積を求めたりすることが主な学習内容である。関連研究である松田の「中学数学の学習支援ソフトの開発」と大原の「Mathematicaを使った空間図形教育支援アプリケーションの試作」で作成されたアプリケーションは、立体のバリエーションが少ないことをはじめ課題が多くあり、より教育現場で使うことができるものを作成する。

 開発には、MathematicaとWolfram CDFを使用し、ウェブアプリケーションとして実現した。立体から展開図になる様子をアニメーションで表示する機能、体積や表面積を求めるための公式を表示し、さらに体積や表面積を求めることができるようにする機能、立体を拡大・縮小できる機能を設計し、実装した。今後の改良点として、更なる立体のバリエーションの追加、計算の途中式の表示などが挙げられる。また、空間図形の学習支援としては、展開したい箇所からの展開、断面図の表示などがあればより実践的なものになると考えられる。

Fig.1
図1: 展開図のアニメーション

Fig.2
図2: 公式・計算

Fig.3
図3: 図形の拡大・縮小

 この卒業研究は平成28年度情報科学部卒業研究学部長優秀賞を受賞しました。

(2017/01/26 掲載。記載内容は執筆当時のものです)